古泉「タイーヤマルゼンッタイヤマルゼン♪」 キョン「やめろ!古泉!」

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:06:28.53 ID:2jGWSliL0

俺はそう言ってすぐさま古泉を羽交い絞めにした。

だが――

キョン「ぐぉっ!?」

古泉「ホイールマルゼンッホイルマルゼン♪」

凄い力で払いのけられた。

クソッ! ただ前屈みで動いてるだけなのに、どこでそんな力入れてるんだこいつ?
 


2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:11:16.57 ID:2jGWSliL0

古泉「ロクロクロクロクロクサーニ♪」

朝比奈「ふ……うぐ、ひぐ、古泉くぅん……」グス

朝比奈さんは泣いている。

無理もない。かれこれ古泉は三十分近くこの状態なのだ。

俺だって本当はとっくに泣き出したかった。

なぁ古泉よ、おまえどうしちまったんだよ?

お前の役割は解説役であって、そんな楽しそうにオセロ盤を転がす役じゃないだろ?

いつものイラつくニヤケ顔を見せてくれよ……なぁ


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:14:27.93 ID:2jGWSliL0

キョン「なぁ、古泉。もう十分だろ?」

古泉「…………」

キョン「お前が何か困ってるってんなら俺は全力で手助けしてやる」

キョン「朝比奈さんや長門だってきっと同じ気持ちさ。だから話を――」

古泉「タイーヤマルゼンッタイヤマルゼン♪」 

畜生っ!!!


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:19:21.69 ID:2jGWSliL0

ああ、わかってるさ! これはこいつの意思なんかじゃない!

こいつは腹の底がまったくわからん野郎だが部室で延々とこんなことする奴じゃ断じて無い!

なぜかって? 決まってるだろ?

ハルヒがこいつのこんな姿見たらどう思う?

頼れる副団長様がキ●ガイみたいにオセロ盤を転がしているんだぜ? 俺なら発狂するね。

そうすりゃ世界はたちまち崩壊の危機だ。それを防ぐのがお前の主な仕事なんだろ?

幸い今は掃除当番が長引いて部室にはまだ来てないが……

キョン「ん……ハルヒ? そうか! ハルヒか!?」


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:24:31.08 ID:2jGWSliL0

キョン「古泉! それはハルヒの仕業なのか!?」

古泉「ホイールマルゼンッホイルマルゼン♪」

くそったれ! まともな答えが返ってくるわけもないか!

どうする……? 何か、何でもいいんだ。せめてヒントだけでも教えてくれ。

朝比奈「古泉くん……もうやめてください……私、なんでもしますからぁ」グス

残念ながら今の朝比奈さんは俺と同じ、ただ狼狽えるだけの一般人に等しい。

未来の朝比奈さん(大)が現れる気配もない以上、頼れることはないだろう。


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:28:07.10 ID:2jGWSliL0

俺は部室を見回した。

古泉の行動からあることに気づいたからだ。

よく見りゃこいつのやってることはさっきから三パターンだ。

1.オセロ盤を転がす

2.オセロ盤を持ち上げ横歩きする

3.オセロ盤を前に差し出す

この三つをローテーションで繰り返している。

ここまでされりゃ谷口でも気づくだろうな。


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:32:08.91 ID:2jGWSliL0

古泉はさっきから某CMの真似をしていたんだ。

気づいてみれば簡単なことだった。

まったく、最初からカーポートマ●ゼンのタイヤを使ってくれれば5分もしないうちに気づけただろうによ。

だがよ、古泉、わかってるぜ?

オセロ盤を使ってることに意味があり、そこにお前のメッセージがあるんだな?

古泉「ロクロクロクロクロクサーニ♪」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:38:52.46 ID:2jGWSliL0

古泉はひとまず置いておくとして俺はオセロ盤について考え始めた。

オセロ盤……オセロ……白黒……パンダ……動物園……

なんでもいい。そこにきっとこいつを元に戻すヒントが隠されてるはずなんだ。

キョン「長門! オセロについて教えてくれ!」

長門「……オセロの語源は元々シェクスピアの戯曲から来ており――」

なるほど、俺は長門からオセロについての歴史、ルール、大会など様々なことを学んだ。

念のため長門の指導の下、朝比奈さんとも一戦を交えた。

意外なことに朝比奈さんは古泉よりは遥かに強く俺との対戦は白熱したものとなった。


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:41:53.52 ID:2jGWSliL0

朝比奈「うふふ、私の負けですね」

キョン「ええ、でも楽しかったですよ。また機会があればぜひ」

朝比奈「はい、喜んで♪ 長門さんもありがとうございました」

長門「礼はいい……私は求められたことをしただけ」

古泉「タイーヤマルゼンッタイヤマルゼン♪」 

さてと、古泉よ。大体わかってきたぜ。お前の言いたいことがな。


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:46:57.00 ID:2jGWSliL0

お前はわざわざ部室のオセロ盤を使って奇怪な行動をしている。

つまり大切なのはオセロじゃない。この部室に関係することだったんだ。

この部室内で今もっとも頼りになるのは誰だ?

そう、俺が頼りっぱなしで申し訳なく思ってるSOS団員筆頭、長門有希以外居やしない。

お前はずっと長門に事情を聞けって言いたかったんだな?

古泉「ホイールマルゼンッホイルマルゼン♪」

ったく、いちいち回りくどいんだよお前は。

この事件が解決したら、そこんところ改善を要求するぜ。


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:51:54.22 ID:2jGWSliL0

キョン「長門」

長門「…………」

キョン「お前は古泉がこうなっちまった経緯を知ってるのか?」

長門「知っている」

やっぱりな。ここに辿り着くまで長かったぜ。

古泉「ホイールマルゼンッホイルマルゼン♪」

古泉の顔にも疲労が浮かんでいた。無理も無い。あの動きをすでに50分だ。

朝比奈「ど、どうしてすぐに言ってくれなかったんですかぁ?」

長門はゆっくりと朝比奈さんの方を向き、

長門「私の役目は観察だから」

と告げた。

その表情が悲しそうに見えたのは決して俺の勘違いではないだろう。

古泉「ロクロクロクロクロクサーニ♪」


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:55:37.19 ID:2jGWSliL0

キョン「それじゃ仕方ないな」

長門「…………」

キョン「だが、聞いた以上はこれからはSOS団の一員として古泉を戻すことに協力してくれ」

長門「…………了解した」

少し間を空けた長門だがその語気はこころなしか強いものがあった。

よし、待ってろよ古泉! すぐに元通りのいけ好かない顔のイケメンに戻してやるぜ!


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 10:59:16.10 ID:2jGWSliL0

長門「事の発端は2週間前、涼宮ハルヒが某CMを視聴したことが原因」

やっぱりハルヒか……。あのCMを見たんだな?

長門「そう。そのメロディが脳内に残り不快を感じた涼宮ハルヒは閉鎖空間を発生させた」

長門「古泉一樹に変調が現れたのもちょうどその頃」


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:03:14.10 ID:2jGWSliL0

なんだって? そんな前からこいつはおかしかったのか?

だが俺の見る限り2週間前には古泉におかしな所は見受けられなかったぞ?

朝比奈「私も古泉くんはいつもどおりに見えました」

長門「その頃から彼の頭には独特のメロディが24時間休むことなく流れていた」

キョン「それは、つまり……」

古泉「タイーヤマルゼンッタイヤマルゼン♪」 

長門「そう。カーポートマルゼ●のCMメロディ」



17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:06:46.00 ID:2jGWSliL0

キョン「馬鹿な! あんなのが一日中、こいつには2週間流れっぱなしだったと言うのか!?」

長門「そう」

朝比奈「そんな……!」

長門「……彼の精神は常人より極めて強靭だった」

長門「通常なら一日と持たないはずが彼は一週間は普段と変わらぬ暮らしを過ごしてみせた」


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:10:48.23 ID:2jGWSliL0

一週間……? こいつがおかしくなったのは今、この瞬間じゃないのか?

だが言われてみれば確かにその予兆はあった。

突然大量の精神安定剤を飲んだかと思えば泣き出したり、

窓から飛び降りようとして『死なせてください』と叫んだことも一度や二度じゃない。

クソッ……! 古泉……お前はあの頃からずっとカー●ートマルゼンと戦ってきたのか……!

古泉「ホイールマルゼンッホイルマルゼン♪」

キョン「何で一人で抱え込むんだよ……この馬鹿野郎……!」


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:14:14.24 ID:2jGWSliL0

長門「おそらく涼宮ハルヒはあのCMを頭に残すことを極度に嫌った」

長門「そしてそのメロディ閉鎖空間に閉じ込め、その場に居た古泉一樹を汚染した」

古泉「ロクロクロクロクロクサーニ♪」

キョン「どうにか……戻す方法はないのか?」

その言葉に……長門は首を横に振った。


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:18:14.13 ID:2jGWSliL0

キョン「!!」

朝比奈「そ、そんな……!?」

長門「……涼宮ハルヒがあのCMを忘れればある程度は対処可能」

長門「しかし、あのCMは流れ続け、涼宮ハルヒはその度に閉鎖空間を発生させる」

長門「相手は全国的な大企業……打つ手はない……」

長門は微かに震えている。

朝比奈さんは床に座り込んで涙を隠そうともしない。

古泉「タイーヤマルゼンッタイヤマルゼン♪」

俺は――


21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:21:52.71 ID:2jGWSliL0

キョン「なんだ、あるじゃねぇか、解決策がよ」

朝比奈「! ほ、本当ですか、キョンくん!?」

キョン「ええ、条件はたったの二つです」

キョン「ハルヒにあのCMを忘れさせること。そしてあのCMを流さなくすること」

キョン「これだけで古泉は救われるんです」

長門「……その方法が私の中にはない」

キョン「簡単だ、電凸するんだよ」


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:25:26.89 ID:2jGWSliL0

朝比奈「で、でんとつ……ってなんですか? 道路に立ってるあの……?」

キョン「それは電信柱のおっさんの言い方です。電凸というのは……」

長門「ある特定の団体、組織等に電話などを用いて抗議、見解を一方的に述べる行為」

長門「つまりはクレーム」

キョン「そうだ」


23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:28:52.38 ID:2jGWSliL0

キョン「ハルヒの方は大丈夫だ。俺に秘策がある」

キョン「長門と朝比奈さんは例の企業に電話でもスパムメールでも何でもいい」

キョン「クレームを入れまくってあのCMを自粛させてほしいんだ」

朝比奈「ふぇぇぇぇ……でも私にクレームなんて出来るでしょうかぁ?」

キョン「鶴屋さんやその周囲の力を借りてください。長門は遺憾なくその能力を発揮しろ」

長門「…………わかった」


24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:34:09.36 ID:2jGWSliL0

よし、待ってろよ古泉。今すぐ元通りににしてやるぜ。

古泉「ホイールマルゼンッホイルマルゼン♪」

作戦が決まるや否や俺たちの行動は早かった。

長門は例の高速詠唱を始め●ーポートマルゼンにクレームを入れ、

朝比奈さんは鶴屋さんに頼みカーポー●マルゼンの株を買い占めてもらった。

俺? 俺はもちろんハルヒの所に向かったさ。

部室に向かっていたあいつを抱きしめ、ジョン・スミスが俺であることを明かし、

好きだと告白して、キスをした。

これであのCMのことを覚えてたらもう本当に打つ手なし、お手上げだった。


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:38:50.62 ID:2jGWSliL0

まぁ、そうはならなかったんだけどな。

なにせ俺は翌日を向かえ、部室であの昨日奇怪な動きをしてた野郎とオセロを興じているからだ。

キョン「どうだ? 調子は」

古泉「すこぶる快調ですよ」

古泉「あの音が鳴らないだけでこんなに世界が澄み渡って見えるなんて久しく忘れていました」

古泉「なにせこのごろは寝ている間はもちろん起きているときもあの三人組の幻影を見ていましたからね」

キョン「それが限界をきたして昨日のアレだったわけだ」

古泉「いや、お恥ずかしい」


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:42:34.23 ID:2jGWSliL0

古泉「貴方には感謝していますよ。えぇ、これは僕の偽らざる本心です」

そうかい、だが俺だけが活躍したわけじゃないぜ?

長門、朝比奈さん、おっともちろん鶴屋さんにも感謝しておけよ。

古泉「もちろんですよ」

古泉「もしこの先機関とその四人の方が対立するようなことがあれば僕は迷わず機関を捨てます」

古泉「それでもまだ足りないくらいですがね」

おいおい、過激だな


27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:45:48.27 ID:2jGWSliL0

朝比奈「うふふ、でも本当に古泉くんが元に戻ってよかったです」

朝比奈「あのままだったら私、本当にどうしようかと……」グス

古泉「ああ、どうか泣かないでください」

古泉「僕もまたこうして朝比奈さんのお茶を味わえて嬉しいですよ」

キョン「別にお茶はいつも飲んでただろ」

古泉「いいえ、すでに何を口にしてもゴムの味しかしなくなっていましたので」

…………地獄だったんだな、本当に


28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:50:12.48 ID:2jGWSliL0

朝比奈「うふ、いくらでも注ぎますからね」

朝比奈「あ、でも……」

キョン「どうしました?」

朝比奈「ううん……あんな大事にしなくても」

朝比奈「長門さんの力で涼宮さんにあのCMだけ頭に残らないようにすればよかったのかなって」

キョン「…………」

古泉「…………」

長門「そのとぉ~り♪」

キョン「!!?」

長門「ピアノ売ってちょ~だぁ~い♪」


~終わり~


29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 11:51:18.19 ID:2jGWSliL0

終わりです
お付き合いいただきありがとうございました!


30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 12:15:22.65 ID:d1DpCEEIo

ピアノだと長門でもあの声で再生されるな
イエローハットも仲間に入れてやってくれ
おつおつ


31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 12:24:12.06 ID:TsA209i5O


ぽぽぽp


32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/11(木) 12:41:50.42 ID:kidDuKWfo

どういう生活をしてればこの話が思いつくんだ…




掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494464788/
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